
みなさんは、日頃の練習からピアノを弾くときの指の形は意識していますか?



弾くことに夢中でそこまで意識できていません・・・



音さえ合っていればいいんじゃないの・・・?
ピアノを弾くときの指の形は、実はとても大切なポイントです。
同じ音を弾いても、指先が鍵盤に触れた感覚や、鍵盤の沈み込む深さやスピードで響きが変わります。
ピアノとはそのくらい繊細な楽器なのです。
それになにより、楽譜通りに弾くのであれば、ピアノの音が美しい方がいいと思いませんか?
ピアノの鍵盤に指先が触れた時の感覚や鍵盤の沈み込む深さや重みのことを「タッチ」と言います。
今回の記事では、この「タッチ」について初心者さんが知っておいてほしいことを簡単にお伝えしていきます。
音楽大学卒業(声楽専攻)後、一般事務の仕事を1年で退職し大手音楽教室講師へ。
10年勤め、その間並行して個人ピアノ教室を主宰するとともに、ブライダル奏者(歌)としても活動する。
大手音楽教室を退職後、個人音楽教室にリトミックコースを増設し0歳から通える音楽教室としてリトミックとピアノのレッスンをおこなっている。
指の形=タッチとは・・?


前述したようにタッチとは、鍵盤に触れた時の指先の感覚や鍵盤の沈む深さやスピード、重みのことを言います。
もっと専門的に説明すると、ピアノそのものの構造のことや響きの伝わり方まで多岐にわたりますのでここでは割愛します。
今回は私が自身の主宰する教室の生徒さんに説明する程度の知識をライトにお伝えしていきます。
鍵盤に触れた時の指先の感覚とは?
ここでまず大切なのは、ピアノを弾くときの指の形です。
ピアノを弾くときの指の形は、丸く自然な形が望ましいとされています。
丸く自然な手の形
丸く自然な手の形を確認してみましょう。確認方法は以下の3ステップ。
- 手をブラブラ~と数回振る
- そのまま力を抜いてストンと下へおろす
- その手の形のまま鍵盤へ持ってくる
みなさんの手の形は、どうなっていますか?
以下の画像を参考にご自分の手の形を確認してみてくださいね!


この画像を見ればわかるように、鍵盤に触れる指先の面積はわずかなものです。
鍵盤を押し込むときも、この形を維持して音が出せるようになることが理想的なタッチと言うことができます。
- 鍵盤を押し込んだ時の指先の関節が内側に反っていませんか?
- 指の”先”ではなく”腹”で弾いていませんか?
- 手の内側の空間がつぶれていませんか?
基礎練習
ピアノを弾く手の形を丸く自然な形とし、それを保ち続けるためには、やはり練習しかありません。
私の教室では、まず基本的な練習として導入期の生徒さんにはバーナムピアノテクニックという楽譜をよく使っています。
この本はミニブックからシリーズで3巻まであり、中でも私がよく使用している導入書は、4小節から長くても12小節くらいの短い練習曲が5グループに分けて12曲づつ入っています。
1曲ごとにとても単純な構成になっているので譜読みもストレスになりません。
だからこそいいのです!
音符やリズムが単純なので、手の形や指先の使い方などに意識を向けやすいという利点があります。
タッチ以外のテクニックもたくさん学べる1冊なので、ぜひ練習に取り入れてみてはいかがでしょうか。
鍵盤の沈み込む深さと重み


ピアノの鍵盤の深さは、一般的には10㎜とされているそうです。
この10㎜の深さを押し込んだ時、どのくらいの深さで音になるかもピアノによって異なります。
いつも同じピアノで練習していると気づきにくいのですが、例えば、電子ピアノとグランドピアノだとその差は歴然です。
近頃の電子ピアノはグランドピアノの鍵盤の感触と近くなってるとはいえ、やはり、違いはわかります。
この鍵盤を押して音になる深さのことも「タッチ」と言います。
同じ弾き方をしても音になる深さが違う
例えば、曲の中に「pp(ピアニッシモ):とても弱く」で弾く部分があったとします。
このppの音を出そうとしたとき、指先へ伝わる力加減を考えて鍵盤を押し込みますよね。
すると、同じような弾き方をしても
一方のピアノでは、だいたい5㎜押し込んだあたりでppの音が出る。
もう一方のピアノでは、2㎜押し込んでppの音が出る。
わずか3㎜の差でも演奏する人にとっては大きな違いに感じるものです。
特に、電子ピアノで練習している方は、この鍵盤の沈む深さのどのへんで音になるのかを指先で感じられるとより美しい音で豊かな表現につながります。
そのためには、自分の音をよく聞いて練習してみてくださいね。
鍵盤を押し込んだ時の重みにも違いがある
鍵盤の重さは、前述している通り電子ピアノとグランドピアノだとはっきりと違いがわかります。
ですが、これはピアノ1台ごとに違いがあるのが普通だと思います。
同じピアノでも、ピアノが置いてある住環境や弾き続ける時間、製造されてから長い年月の経つピアノなど様々な条件で鍵盤の重みが変わってくるものなのです。
以前、私が弾いたことのあるグランドピアノは約30年前に製造され、ホールの片隅に置かれたままという状態のものでした。
調律は毎年されているようでしたが、タッチが重く、鍵盤の沈み込みは浅く(感じただけですが)響きのない残念なピアノだった、という思い出があります。
鍵盤の重みはそれぞれピアノごとに違うので、日頃の練習から指先の形や使い方を意識して取り組むことが大切ですね。
まとめ
いかがでしたか?
今回の記事では、ピアノのタッチについてお伝えしました。
ピアノのタッチには大きく2種類あります。
- ピアノを弾くときの指先が鍵盤に触れる感覚
- ピアノの鍵盤が沈み込む深さや重み
これらのことを日頃から少し意識してピアノの練習をすることで、より美しいピアノの音を創り出すことができ自分の思い通りの演奏に近づくことができます。
また、タッチ、特に指の形や使い方は長くピアノを楽しむためにも変な癖がつく前に正しく覚えることをおすすめします。変な癖がついてしまうと、弾きにくくて上達につながらないばかりか手の故障にもつながることもありますのでご注意ください。
みなさんがますますピアノを楽しめますよう応援しています!