
ピアノを練習しているときの姿勢。みなさんは意識したことありますか?
猫背になっていたり、椅子の奥にどっしり座っていたり。
極端にピアノと椅子の間隔が狭かったり、または離れすぎていたり。
小さい子どもだと、椅子に座った時に足がぶらぶらと宙に浮いていたり・・
意識してピアノを弾く姿勢を見てみると、意外と上記に当てはまる人も多いのではないでしょうか?
実は、良い演奏・思い通りの響きを出すためには、日頃の練習の時から正しい姿勢で弾くことが大切なのです。
なぜなら、ピアノ弾く指先は体全体の筋肉とつながってるから。
当たり前ですよね?しかし、これが全てなのです。
私は、これまで延べ約1,000人の生徒にピアノの指導をしてきました。現在でも約30人の生徒さんが私が主宰する教室に通ってくれています。
そのほとんどすべての生徒さんに入会初期の時点で正しい姿勢について説明するようにしています。そのくらいピアノを弾くうえで重要なのです。
この記事では、ピアノの練習中から気を付けておきたい姿勢と実際にピアノを弾いた時の注意点をお伝えしていきます。この記事を読むと、正しい姿勢でピアノを弾く重要性はもちろん、あなた自身の理想の演奏・理想の響きに近づくことができるはずです。
正しい姿勢は初心者だからこそ気を付けたいポイントでもあります。もちろん、ピアノ上級者でも改めて自分の演奏姿勢を確認してほしいと思います。
- 正しい姿勢と注意点
- 美しい音・理想の演奏に近づくためのポイント
【結論】正しい姿勢とはまっすぐな背筋・椅子の高さ・ピアノとの距離である

結論からお伝えすると、ピアノを弾くときの正しい姿勢とは①背筋がまっすぐ伸びていて ②椅子の高さも丁度よく ③ピアノと椅子の距離が適切である ということになります。
指先を動かすために、腕を使い、肩を通って背中の筋肉につながります。曲によっては腹筋だって使います。また、背中の筋肉は腰に支えられ、その腰は足の筋肉につながるのです。
このように体全体が機能したうえで、美しい響きは作られます。美しい響きが出せれば理想の演奏にも近づくことができるのです。
そのためにも、正しい姿勢でピアノを弾くことは重要だと言えます。
正しい姿勢でピアノを弾く理由
そもそも、正しい姿勢を意識していない状態でピアノの練習を続けた場合、どのような不都合が生じるのでしょうか。
恐ろしいことを言いますが、最悪の場合、腱鞘炎など手の故障につながります。また、肩こりや腰痛が悪化するなんてことも。
よく聞く話しです。
このような事態にならないように、いつもコンディションのいい状態でピアノに向かいたいと思いませんか?
そのためには、日頃から正しい姿勢を意識してピアノに向かうことが大切になります。
正しい姿勢と注意点
それでは次に、正しい姿勢とそれに関する注意点を説明していきます。
まっすぐな背筋

椅子に座った時に、腰から頭の先にかけて一本の糸でまっすぐ上に引っ張られているような上半身を意識しましょう。そして、背筋を伸ばしたままで肩や腕はリラックス。肩に力が入っていませんか?
肩や腕の力を抜く(=脱力する)ために、椅子に座ったままで腕をブラブラ動かしてみることも効果的です。
「まっすぐな背筋」を意識すると、胸を反ってしまう人や逆に上半身に力が入りすぎてしまう人がいます。自分の姿勢を確認してみましょう。
※まっすぐな背筋は演奏前の椅子に座っただけの状態で確認しましょう。演奏中は、多少身体が動いてしまうものです。動きすぎはよくありませんが、演奏中もずっとまっすぐな背筋を意識している必要もありません。
椅子の高さ

椅子に座ってまっすぐな姿勢から腕を鍵盤に伸ばし指先が鍵盤に軽く触れたときに、肘が鍵盤より少し高いところにあり、尚かつ鍵盤と前腕(肘から手首にかけて)が平行(または鍵盤に向かって緩やかな傾斜)になるように椅子の高さを調整します。
椅子が低い状態で演奏すると、指や手首・腕を使うための力が必要以上にかかってきます。これでは、練習中に疲れやすくなる上に、体の故障の原因ともなりますのでご注意ください。
ピアノに付属している椅子は高さ調整のできるものがほとんどですが、中には調整できない椅子もあります。その場合は、固めのクッションなどで座高を調整しましょう。やわらかいクッションなどを使うと、座った時に腰が安定しないので避ける方が望ましいでしょう。
また、足の裏が床にしっかりついて膝がおおよそ90度になっているか確認しましょう。
小さなお子さんの場合、足が床につかず宙に浮いていることがよくあります。この場合は、足台などを利用し足がぶらぶら動かないよう工夫しましょう。
ピアノと椅子の適切な距離

まっすぐな背筋で椅子の座面半分より手前に座り、その状態で腕を伸ばし鍵盤に指先が軽く触れた時に、肘が体の側面よりも前にくるように椅子の位置を調整しましょう。
これがピアノと椅子の適切な距離となります。
たまにピアノと椅子の間隔が狭く、指先を鍵盤に触れた状態の時に肘が体の真横、または少し後ろにある状態でピアノを弾いている人がいます。これでは腕の可動域が狭くなり、腕や手などに余計な負荷がかかり弾きにくい上、手を故障する原因にもつながるので今一度ご自身の姿勢を確認してみましょう。
以上が、ピアノを弾くときの正しい姿勢ということになります。
日頃から正しい姿勢で練習していると、体の動きもスムーズになり余計な力が入りにくいために故障につながることも減ってきます。
ピアノを弾く練習も重要ですが、ピアノを始めたばかりの初心者だからこそ正しい姿勢も意識して取り組んでもらいたいと思います。
また、初心者さんに向けての基礎知識は
リズムについての解説は
効率の良い練習方法については
ピアノ初心者のための練習ポイント3選!効率よく練習するために知っておきたいこと
これらの記事でもお伝えしています。
美しい音・理想の演奏に近づくために

正しい姿勢でピアノの練習をして、次に意識したいことが自分の理想とする美しい音と演奏です。
ここで重要なのが音をよく聞くこと。自分の演奏をよく聞きましょう。
その時に注意して聞いてほしいところは
- 音や休符の長さや強さ
- フレーズのまとまりと最後の音の処理
- 両手のバランス
といったところです。
細かく説明すると、他にもいくつかありますが、初心者さんの練習ではまずこの3つに気を付けて自分の演奏をよく聞いてほしいと思います。
自分なりの美しい音の出し方や理想の演奏を追求してみましょう。
まとめ
今回の記事では初心者さんだからこそ気を付けてほしい『正しい姿勢とその注意点』について説明しました。
- 椅子に座った時の上半身が一本の糸で上に引っ張られたようなまっすぐな背筋
- 鍵盤に指先が軽く触れた時に肘が鍵盤より高くなるような椅子の高さ
- 椅子に座った時の肘の位置が体より前になるような椅子の位置
正しい姿勢は、ピアノの練習を始めたすべての皆さんに意識してほしい大切なポイントです。
初めに正しい姿勢で弾く癖をつけておくと、これから続くピアノのある生活を長く楽しむことができるはずです。
だからこそ、今回の記事にある正しい姿勢を意識して日頃のピアノの練習に取り組んでもらいたいと願っています。
みなさんの楽しいピアノライフを応援しています!