
まだピアノを始めたばかりの小さな子どもの演奏に「ビートが合ってないな」「リズムが乱れるな」なんて感じることはありませんか?
または、自分の子どもに「リズム感がよくなってほしい」と思うことはありませんか?
リズム感は、小さなころの様々な経験によってその土台が作られるといっても過言ではありません。
では、どのような経験によってリズム感は養われるのでしょうか?
ただリズムの基礎練習をさせる方法は、子どもにとって面白くないので続きません。「練習」や「勉強」を好きな子どもはあまり多くはない上、集中力も短い子どもたちには酷なことです。
実際に、私の主宰する音楽教室に通うまだ初心者の生徒さんに、いきなりリズムを作る基本の3種類の音符の説明を始めても生徒さんがまだ小さい場合は「?」だらけになります。
そこで私がおススメしている練習方法(と言っても遊びの延長のような方法ですが)は、ズバリ
言葉(名称)を使ったリズム打ちです!
多くの音楽教室でも取り入れられているリズムの練習方法だと思いますが、これは実はパパ・ママでもできる簡単な遊びの一つでもあります。この方法をマスターして是非お子さんと一緒に遊んでみてください!子どもたちにとって知っている言葉を使ったリズム打ちはとても簡単なので、楽しんで何度でも繰り返し取り組むことができます。それによって、ピアノの演奏に必要なビートやリズムも整いやすく、さらに、今までなんとなく聞いて覚えていた言葉をしっかり記憶するとともに、曖昧だった言葉も正確に覚えることができます。
では、その方法をご紹介していきます。
まずは3つ打ちから始めよう
リズムの基本は4分音符(=♩)の3つ打ちです。なので、初めは3文字の言葉(名称)を使います。果物の名前には3文字が多くありますよ!

「リンゴ」と言いながら手をたたきます。1文字に手拍子1回といった感じです。
言葉ははっきりと言いましょう。3歳くらいのお子さんの場合は、1文字1回の手拍子がズレている場合があります。その時は同じ文字数の違う言葉に移るか、文字数の少ない(2文字)言葉のリズム打ちをしてみましょう。
手拍子以外のリズム打ちの方法は?
手拍子をなかなかしてくれないお子さんもいると思います。そんな時は、パパ・ママが「リンゴ」といいながらお子さんの身体を優しくタッチしてあげる方法もあります。いろんな言葉をボディータッチと一緒に聞かせましょう。たとえお子さんが他のことをしていても、その言葉もリズムも少しずつしっかり蓄積されていきますよ。
文字数を増やそう!
3文字のリズム打ちができるようになったら、次は4文字・5文字と文字数を増やします。また、伸ばす音や小さな「っ」が入るような言葉にも挑戦していきます。


これらの言葉は日常生活の中で聞いたことがあると思います。それを改めてリズム打ちしてみると簡単に8分音符や2分音符の練習にも繋がっていくのです。
言葉を覚え始めた1歳・2歳の子どもたちには、現物を見たときにリズム打ちするとなお一層効果的です!言葉の響きだけではなくそのもの自体も見てしっかりインプットすることができます。
拍のまとまりを意識してリズム打ち
拍のまとまりとは、拍子のことです。4分音符が2つのまとまりで2拍子、3つのまとまりで3拍子と1つの曲を作る上で決められています。(拍子の提示のない曲もあります)ここでは2つのまとまりを例に説明していきます。
リズムを作る基本の音符3種類の中でお伝えした音符を組み合わせて2拍子のリズムを作ります。

この6つができました。
これらのリズムをただ手拍子するだけでは子どもたちには難しいです。子どもたちも知っているような言葉を入れます。
(例)
1.しまうま 2.ライオン 3.フェレット 4.オオカミ 5.チーター 6.ぞう
といった感じです。(2の「ライオン」は「オン」を1つのまとまりとします)
このように基本の3種類の音符を組み合わせてリズムができ、この上に言葉を合わせて手拍子すると簡単にリズムも拍子感も練習することができます。簡単だし、いつでもどこでもできますね!食べ物や身の回りにあるものでも何でもリズム打ちして遊んでみましょう。
文章もリズム打ち
単語のリズム打ちができるようになったら短い文章のリズム打ちも楽しんでみてください。さらに拍子を感じながらリズム打ちできるとリズム感がついてきた証拠です。

こんな感じで、文章にもリズムがあります。多少ヘンになってもOK!そんな時は笑い飛ばしてまた次の文章リズムに挑戦していきましょう。なんでもリズム打ちして楽しんでみてください。なにげない遊びですが、リズムや拍子が養われて語彙力も高まります。たくさん言葉のやり取りをするのでコミュニケーションもとれますね!
ちなみに、この「ドーナツたべたい」には続きが合って「はい、どーぞ」「ありがとう」とリズム打ちしながらやり取りができます。
まとめ
今回の記事では
- 4分音符の3つ打ち→文字数を増やす
- 拍のまとまり(拍子)を感じてリズム打ち
- 文章でもリズム打ち
と大きく3つの言葉を使ったリズム遊びをご紹介しました。
子どもはなんでも遊びの天才です。この言葉のリズム遊びもコツを覚えたら子どもたちはなんでもリズムを感じて話すようになります。小さいうちからのこの経験が土台となりリズム感のいい子に育つのです。「リズム」は音楽だけに使われるものではありません。スポーツでも日頃の生活の中でも「リズム」は存在しています。今回の記事の中でご紹介した言葉を使ったリズム遊びは、いつでも どこでも だれでも できる簡単なものばかりです。ピアノを始めたばかりのお子さんをお持ちのパパ・ママも一緒に日頃の生活の中にあふれる言葉を使ってリズム遊びを楽しんでみてください。新しい楽しさが見つかりますよ!