大人のピアノ初心者にオススメな練習曲:ペツォルト作曲「メヌエット ト長調」

みなさんは「メヌエット」というピアノ曲をご存じでしょうか?

「バッハのメヌエット」と聞くと「あ~あの曲ね!」とわかる方も多いかもしれません。

この曲は、多くの人が知っている有名な曲でもあり、基本的な音楽理論とテクニックを学ぶためのシンプルで簡単な曲でもあるので大人の初心者さんにとってオススメな練習曲の1つです。

今回の記事では、この曲について簡単な音楽理論の説明とテクニックについて説明してきたいと思います。

目次

メヌエットの作曲者はバッハではない!?

そもそもこの曲は、長い間バッハの作品とされていましたが、最近の研究では、バッハではなくクリスティアン・ペツォルトによって18世紀に作曲されたとなっています。バッハと同じ時代です。

このペツォルトの「メヌエット」もバッハの「メヌエット」と同様に、当時流行したフランスのメヌエットダンスに基づいて作られました。

なお、このメヌエットには、ト長調とト短調の2種類の曲があります。

作風も少し違いがある

バッハは、同時代の他の作曲家と比べても特異な存在であり、彼の作品は後世の音楽にも大きな影響を与えました。

また、音楽理論や演奏技術においても革新的なアイデアを持ちその影響力は今日でも認められています。

ペツォルトがバッハから影響を受けた可能性はあるものの、彼の作品にはバッハの音楽に見られるような複雑な和声や対位法的な技法はあまり見られません。

これらの違いにより、この有名なメヌエットはペツォルトの作品とされているのです。

基本的な音楽理論を学ぶ

今回は、メヌエット ト長調について解説します。

この曲で学ぶことのできる基本的な音楽理論は次の4つです。

基本的な音楽理論
  1. メロディ
  2. 和声
  3. リズム
  4. 形式

一つずつ説明します。

1.メロディ

この曲の旋律は簡単で明確なメロディーラインを持ち、旋律の発展に焦点を当てた曲です。

具体的には、曲の最初の部分で導入されたメロディーラインが、曲の進行に従って展開され、変化していく様子を示しています。

また、旋律が一定のリズムで進行しながら、音程や音符の長さなどが変化することで、緻密なメロディーラインが構成されています。また、曲の中で繰り返される旋律のフレーズが、微妙に変化していくことで、聴衆に印象深い音楽体験をもたらすのです。

2.和声

「メヌエット」は、シンプルな和声に基づいて構成されています。

主に三和音や七の和音を用いた和声進行が中心となっており、たとえば、曲の冒頭の和音進行は、I-IV-V-Iのシンプルな進行です。また、主題部分では、I-V-IやIV-V-Iなど、基本的な和声進行が多用されています。

このようなシンプルな和声は、初心者のピアノ演奏者が曲を演奏する上で、音楽理論的な知識が不十分でも、和声の流れを感じることができるようになります。そして、和声の流れを把握することで、曲の構造や展開を理解し、より効果的に演奏することができるようになるのです。

このように和音や和声進行について学び、和声が曲の印象に与える影響を理解することができます。

3.リズム

この曲は、リズムパターンがメロディーラインの強拍と密接に結びついています。たとえば、曲の冒頭では、リズムパターンが、1拍目が強く、2拍目が弱くなっています。このリズムパターンに合わせて、メロディーラインも1拍目に高音を置くことで、強調された旋律が生まれます。

また、曲の中で繰り返されるフレーズでは、リズムパターンが微妙に変化し、メロディーラインもそれに合わせて変化します。これにより、同じ旋律が繰り返される部分でも、リズムの変化によって新鮮な印象を与えることができます。

このように、メロディーラインとリズムの密接な結びつきは、曲をより効果的に構成することができ、聴衆に印象的な音楽体験を提供することができるのです。

4.形式

三部形式に基づいて構成されています。三部形式の要素であるA部、B部、およびA部の再現について学び、曲の構造を理解することができます。

この三部形式を理解することで、曲の構成を把握しやすくなり、フレーズの区切りを意識しやすくなります。また、演奏のダイナミクスをコントロールしやすくなるので楽的な表現の幅が広がるのです。

以上のように、「メヌエット」を通じて、音楽理論の基本的な要素を学ぶことができます。さらに、曲を演奏することで、音楽表現や演奏技術の向上にもつながります。

練習のヒント

さぁ、いよいよ練習してきましょう!

この曲を練習するためにいくつかのヒントをお伝えします。

ヒント
  1. 楽譜を理解する
  2. 片手づつの練習で指使いを確認する
  3. ゆっくりと両手奏
  4. フレーズごとに練習

1.楽譜を理解する

この曲は、4分の3拍子で書かれており、シャープがあったりリズムの変化が含まれています。楽譜をじっくり見て、リズムや音符の長さ、音の高さの変化など確認しましょう。

右手のフレーズを4小節ごとに区切ってリズム打ちの練習をしてもいいですね。

2.片手づつの練習で指使いを確認する

リズムがわかったら次は片手ずつ弾いてみます。

すべての音がいつも同じ指で弾けるように初めから指番号を決めて練習すると、効率よく練習できて時短にもつながるのでオススメです。

先ほどのリズム練習でもふれたように、4小節の短いグループにわけて練習してみてください。

指がスムーズに動くようになったころには、音符を覚えてしまっていることでしょう。

さらに、片手の練習の時に、音名も歌いながら弾く練習をするとさらに効果的です!

ゆっくりと両手奏

最初は両手を分けて練習することをお勧めします。それぞれの手のパートをマスターしたら、両手を合わせて練習しましょう。最初は、ゆっくりとしたテンポで弾くようにしましょう。

もしできたら、ここでも両手を弾きながら右手のフレーズを声に出して歌ってみましょう!

『歌いながら練習する』ことは本当に上達ヘの近道です。

4.フレーズごとに練習

最後に、曲全体をスムーズに演奏することを目指しましょう。

フレーズごとに弾いて、どこで息をつくのか、どこで指を移動するのか、変えるのかなどを考えて弾いていくのです。また、いつも同じような弾き方で練習することが効率の良い練習ですので、息継ぎや指使いなどを楽譜に書き込んでおくと、いつ練習しても同じ弾き方ができるので便利です。

また、音符を正確に弾くだけでなく、ダイナミクスや音色にも注目し、曲に感情を込めて演奏するようにしましょう。

さらに、自分が「どういう風に弾きたいのか」のイメージをもってそのイメージに近づくように練習すると一気に完成度があがりますよ!

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この記事では、時間のない中で効率よく練習するためのヒントをお伝えしています!

まとめ

以上のように、ペツォルトの「メヌエット」を練習する際には、楽譜をよく理解し、指の使い方を練習し、両手でスムーズに演奏するように練習していくことが大切です。

ピアノはちょっと練習したくらいではすぐには弾けません。繰り返し何度も練習して弾けるようになるものです。

また、弾けるようになってからも、少し時間を置いてから再度弾いてみると、同じ曲でも、その時の気分や環境で全く同じ演奏ができるとも限りません。そこが面白いのです!

この曲を弾いたことのある人も、今からチャレンジする人も、何度も繰り返し弾いてみてくださいね!

新しい発見があると思います。それはそれで楽しく満足のできる時間を過ごせるのでないでしょうか。

みなさんのピアノライフを応援しています!

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この記事を書いた人

管理人のアバター 管理人 音楽教室の先生

地方の音楽大学を卒業後、大手音楽教室に10年勤務。現在は独立し個人音楽教室を主宰。元気な男児を育てる母でもあります。
このサイトでは、音楽教室講師としての経験や知識、子供を育てる母親としての子育てお役立ち情報をお伝えしています。

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